坊主頭に、髭、がっちりした体つきで、ラガーマンのような雰囲気を醸し出しているが、話し出すととても柔らかい笑顔で、気さくだ。現在、SIEでITソリューション事業部長として活躍している福田豊一さん(45歳)に話を聞いた。

子供の頃は引っ込み思案でした。

スポーツはラグビーではなく、サッカーでポジションはゴールキーパーだったとか。「子供の頃は引っ込み思案だったんです。」という言葉が一瞬信じられなかった。プライベートでは小学生のお子さんのサッカーの送り迎えをしたり、ご自宅でサッカー日本代表の試合を見たりしているそうだ。
そんな福田さん、小学生の頃は映画やゲームからミリタリー物が好きで、卒業アルバムの夢には「自衛隊」と書いたほどだったそう。現役の自衛官、と言われても納得してしまいそうだが。そんな自衛官という夢を書き換えることになったのが、中学生のころに出会ったパソコンだったそう。当時はプログラムを書くとかではなく、パソコンでゲームを楽しんでいたそうだが、これをきっかけに、「将来は技術系の仕事を・・・」という思いを抱くようになったということ。

普通科高校を経て、技術系の専門学校へ進学。卒業後はOA機器メーカーに就職し、営業を担当。この営業時代に、コミュニケーション力が鍛えられ、子供の頃の「引っ込み思案」を払拭したのかもしれない。当時はインターネットの普及が進んでいるタイミングで、営業職にも技術的知識がより求められるようになっていった時期で、仕事をしている中、「エンジニアの仕事の方が楽しいかもな・・・」という思いが強くなり、一念発起して中学・高校時代に思い描いていたエンジニアの道に進むことを決めたということ。

35歳くらいまでに1人前になれれば。

29歳というタイミングでのエンジニア転向。ストレートにエンジニアを目指していた人と比べるとかなりスロースタートとなったわけだが、それゆえに苦労も多かったのでは?と聞いたところ、「”仕事”っていうのはどれもしんどいものだと思っていたので、頑張るしかないと思ってました。また、年をとっていたからこそ、周りより勉強しないと追いつけないとも考えていのたで。そして、35歳くらいまでには1人前にならなきゃと思っていました。」と、当時、強い決意と明確な目標設定があったことを教えてくれた。

エンジニアとして歩み始めた福田さんは、2013年にSIEに入社。当時は現場にいたのが福田さん1人だったということだが、上司から「現場のエンジニアが現場を盛り上げてほしい。そして、チームを作っていって欲しい。」という言葉をかけられたことで、エンジニアとしての仕事だけでなく「マネジメント」の仕事も意識するようになっていったそう。

「現場のチームづくりをしている中で、「あ、そろそろ人が足りなくなるな」というのも徐々に分かるようになっていったんですよ。そこで、「じゃあ、うちの人間を・・・」ということもできるようになっていきました。」

他社を含めたプロジェクトを成功に導いていく中で、SIEの社員を現場に触れさせる機会も作る、という好循環が生まれるようになっていったそう。また、当時はSIE社内にもリーダー制度といったものがなく、チームをどのようにマネジメントしていくのかも手探りな状態だったため、福田さん自らSIE社内に対して「こういう制度があった方がいいんじゃないですか?」と、積極的に新しい制度を提案していったということ。

中途での入社、しかもエンジニアとしてのスタートも遅かった福田さんだが、しっかりと現場での実績を積み信頼を得ていくことで、社内でもしっかりとキャリアアップを果たし、会社をより良い方向へ導く「変化」をもたらすこともできるようになっていった。

大切なのは、なりたい自分を見つけること。

現在は、プロジェクトの品質や納期を守るため細かい部分に気配りが必要な「現場の業務」と、全体を俯瞰して見ていかなければならない「リーダー業務」という、いわば真逆の仕事に携わっている福田さんに、最近の若いエンジニアのキャリアに対する印象を尋ねたところ、

「エンジニアになりたい、と思って入ってきた人がどこまでいるのかは分からないし、もしかしたら、そこまで深く考えてはいないんじゃないかな?」

と率直に語ってくれた。そんな若手と接する機会がある福田さんだからこそ、今の立場でできることもある。

「エンジニアとしての一人前を目指す人たちがさらに成長できたり、エンジニアって楽しい!と感じられたり、しっかりとキャリアを築いていけるような会社づくり・制度づくりをしていきたい。」と語ってくれた。そして、若手に対しては、「大切なことは仕事でもプライベートでも”なりたい自分”を見つけること。そういった「目標」を見つけられれば、私たちが手伝ったり導いたりすることもできると思う。」とエールを送ってくれた。福田さん自身もかつて「35歳くらいまでに1人前に・・・」という目標があったからこそ、成長できた経験があるからこそ出てきた言葉だろう。

そんな福田さんに、自身の今後のキャリアについて聞いてみた。

「自分が35歳くらいの時に、45歳くらいには現場を抜けたい、と思っていたんですよ。今は内勤の仕事もしつつなので、20%くらい達成しているかな?今は1つの部門の仕組みを考えたりしているけど、今後は全体がより良くなっていくような仕組みづくりに携わっていきたい。」